ケーキの切れない非行少年たち
先日、宮口幸治先生の講演会「不器用な子どもたちにどう寄り添うか」に参加してきました。
宮口先生の著書「ケーキの切れない非行少年たち」はベストセラーになっており大変有名な本です。先生は、この著書の中で、「苦手なことをそれ以上させないという指導は、とても恐ろしいことだ。なぜなら、そこに伸びる可能性がないと確かめもせずに、本人が苦手だからという理由でそれを避けていては、その子どもの可能性を潰している。ある意味、支援者が障害者を作り出していることにもつながる」と述べています。
私は、この考え方には大変共感します。私も、障害児に無理に発達支援をしなくても良いではないか?という意見を言われることがあります。私たちは、伸びる可能性があるから伸びる時期にたくさんの発達支援を行うことで、その子どもたちの未来を開いてきたい。そして、それが親育てにつながるし、子育てが楽しくなり、家族の絆も深くなると信じています。
宮口先生は、医療少年院に勤務しているときに、ある非行少年に"Rey複雑図形(The Rey Osterrieth Complex Figure)"の模写をさせてみたところ、全く模写ができないという現実に出会います。その後も、ケーキに見立てた丸い円が書かれた用紙を渡して、「このケーキを三等分してみて」と書かせてみたら、全く3等分できないなどの現実に直面しました。

図.レイ複雑図形

図.ケーキ3等分例
認知力を伸ばすメソッド・コグトレ
目の前に同じものがあっても、見え方が違っている。同じことを聞いたとしても、正しく聞いたことを理解できない。そんな歪みが発生していて、その結果、非行に至る。ということは、その歪みを修整することができれば、非行は減るはずだと宮口先生は考え、そして、認知力を伸ばすメソッド"コグトレ"を開発しました。
支援者としての関わり
子どもと関わる上で大切なのは、「見通」「目的」「使命感」だと宮口先生は言います。「見通し」を持つために大切なのは、まず
余計なことはしない・言わない。
NGワードとしていくつか例示がありましたので、ご紹介します。
NGワード1:「努力しないと相当厳しいよ」
負の暗示をかけることになるので、言わない方がいい
NGワード2:「できた人から持ってきなさい」
焦らせることになる。時間内にできることが目的になる。
NGワード3:「どうしてあなたはいつもそうなの?」
責め立てるように聞こえ、言い訳できなくする。
NGワード4:「ほら、言ったとおりでしょ?」
失敗経験をした子どもに対して、さらに追い打ちをかける。
「見通し」を持たせる手立てとしては、以下のようなことを紹介していただきました。
1.面白いと思わせる
漫画でも何でも良いので興味を持たせて、「面白い」と感じさせる
2.カンタンと思わせる
答えにたどり着くのに時間がかかりすぎないように適度なヒントを与える
電卓などのツールの使用も許可する
認知力を伸ばすことは非行少年を減らすことにもつながる
本講演会に参加して、認知力を伸ばすことが非行を減らすことにつながることが分かりました。また、支援者が障害者を作るようなことにならないように、子ども一人ひとりの特性を正確に捉え、子どもたちに面白い・やってみたいと思わせるアプローチを大切にしながら成長に導いていきたいと改めて思いました。




